補液シリーズ①:ラクテックについて解説

看護学生

ラクテックは臨床にいるとよく使用する点滴です。

どんなときになんのために使用するのか解説します✏︎


ラクテックとはどんな薬?

ラクテックは電解質液(乳酸リンゲル液)です。

細胞外液の電解質組成に近いので、脱水時に電解質や水分を補給します。

またアシドーシスを補正するためにも使われます

ラクテックの効能

添付文書には

・代謝性アシドーシスの補正

・エネルギー補給

・細胞外液の補給・補正

と明記されています。

具体的には⇩

〈代謝性アシドーシスの補正〉

代謝性アシドーシスとは体内が酸性に傾いた状態のことをいいます

酸が排出できない、または過剰に生成されることにより重炭酸イオン(HCO3-)が減少しpHが7.35未満へ低下した状態です

症状は呼吸困難、嘔吐、倦怠感、頭痛、重症になると意識障害が起こり意識レベルの低下、昏睡状態になることもあります

原因は腎不全により酸が排出できないパターンや、糖尿病でケトン体が過剰に生成されるケトアシドーシス、下痢で重炭酸イオンが失われて酸が排出できない場合などさまざまです。

ラクテックに含まれるL-乳酸ナトリウムが体内で代謝されるとHCO3-となりアシドーシスを補正します

重炭酸イオン(HCO3-)とは?
体内での酸塩基平衡を維持する物質です。
乳酸は代謝されてHCO3-となるため体内でアルカリ材として機能しています

〈エネルギー補給〉

ラクテックにはエネルギー源としてソルビトールブドウ糖が含まれています

500mlのラクテック1本は100kcalです

〈細胞外液の補給〉

ラクテックは下記の電解質を配合しています。

・塩化ナトリウム

・塩化カリウム

・塩化カルシウム水和物

・L-乳酸ナトリウム

ラクテックに含まれる電解質の濃度が体内の電解質濃度とほぼ同じであり、これによってラクテックは細胞内へ移動せず細胞外へ分布して細胞外液量を増やしてくれます

副作用

主な副作用はアレルギー反応や急速投与による肺水腫、脳浮腫です

カリウムが含まれるため高カリウム血症にも注意します

生理食塩水との違いとは?

急変時には生理食塩水が使われることも多いですが、生食とラクテックの違いはなんでしょうか?

まず、ラクテックは乳酸リンゲル液、生食はナトリウムとクロールを含む食塩水です

ラクテックと生食の1番の違いはナトリウム含有量の違いです

生食に含まれるナトリウムは0.9%/Lです。

つまり1Lあたり9gの食塩が含まれています。

この0.9%は人間の浸透圧とほぼ同じです。

生理食塩水はカリウムが含まれないため、心臓や腎臓の状態がわからない患者さんへ使用できます。

一方ラクテックのナトリウム含有量は(製品にもよりますが)1Lあたり6gです。

ラクテックには上に書いたように他にもバランスよく電解質が含まれていて、より血漿の電解質組成に近くなっています

さらにナトリウム濃度が生食と比べると低いため、大量投与時に代謝性アシドーシスの悪化を防いでくれます。

そのため出血性ショック敗血症性ショック、重度の脱水、熱傷による脱水などの急変時や手術など細胞外液の喪失時にはラクテックが用いられます。

まとめ

臨床でよく使うラクテックについて解説しました✏︎

・細胞外液が減ったとき

・代謝性アシドーシスになったとき

・エネルギー補給

のとき選択されると覚えておきましょう。

なかなか点滴の一つ一つを理解するのは大変ですが、それぞれ特徴があります。

今後も別の補液についての解説をしますので、一緒に勉強していきましょう!

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