補液シリーズ②:ソリタ液T1・T3の違いを解説!

新人看護師

現場でよく使うソリタT1やT3

指示が出てるから…でなんとなく使っていませんか?

私もよくわからないまま使っていましたが、実は違いがはっきりあります。

今回はソリタについて学んでいきましょう✏︎


ソリタはどんな点滴?番号の違いは?

ソリタは電解質液です。

ソリタT1は開始液、ソリタT3は維持液と呼ばれます。

基本的には脱水時の水分・電解質補給に使用します。

ソリタはT1からT4までの番号に分かれています

大雑把にいうと、1→4の順でナトリウムとクロールの含有量が減りブドウ糖の量は増えます。

つまり数字が小さいほど生理食塩水に近く、数字が大きいほど5%ブドウ糖液に近い組成となっています。

また2,3のみカリウムが含まれています。

ソリタT1

〈組成(500ml中)〉

成分

・塩化ナトリウム2.07g

・L-乳酸ナトリウム 1.12g

・ブドウ糖13g

・熱量52kcal

電解質濃度

・Na+ 90mEq/L

・Cl – 70mEq/L

・L-乳酸 20mEq/L

〈効能〉

・手術前後の水分や電解質補給

・脱水時の水分・電解質補給

なぜ開始液と呼ばれる?

ソリタT1は開始液と呼ばれますがなぜでしょうか。

それは組成にポイントがあります。

上記の組成を見るとカリウムが含まれていないことがわかるかと思います。

これにより病態がわからない時や高カリウム血症の可能性があるとき、脱水の治療初期段階に電解質のバランスを整えながら迅速に水分・電解質補給ができます。

排尿が確認できたらカリウムも補給します。

またカリウムは例外もありますが1時間あたりに投与できる量に制限があります(20mEq/h)

治療初期段階で点滴の急速投与が必要な場合にカリウムが含まれる輸液を使用してしまうと、この制限を超えて心停止などのリスクが上がります。

ちなみに、ソリタT1は日本人の小児科医グループが脱水の小児に対して最初に投与する目的で作った輸液です。

ソリタT3

〈組成(500ml中)〉

成分

・塩化ナトリウム 0.45g

・塩化カリウム 0.745g

・L-乳酸ナトリウム 1.12g

・ブドウ糖 21.5g

・熱量 86kcal

電解質量濃度

・Na + 35mEq/L

・K + 20mEq/L

・Cl – 35mEq/L

・L-乳酸 20mEq/L

〈効能〉

経口摂取ができないときまたは不十分なときの水分、電解質補給

維持液と呼ばれる理由は?

ソリタT1の項目で説明した通り、ソリタT1はカリウムが入っていないので治療開始時の急速投与にも対応できます。

逆にいえば、T3はカリウムが入っているので同じ使い方はできません。

T3は排尿が見られたあとに治療を維持する目的で使われます。

そのため維持液と呼ばれるんですね。

ちなみに、T3は電解質をバランスよく含んでおり2000ml投与すると成人の1日に必要な水分と電解質を補給できるとされています。

ソリタT2とT4はどんな時に使うのか

よく見かけるソリタT1とT3ですが、一方で(施設にもよりますが)ソリタT2とT4ってあまり見かけません。

思い返せば私も使ったことあるか微妙です、4はあるかな…くらい。

どちらも手術前後や脱水時の水分、電解質補給目的に使われるのは同じです。

ソリタT2と似ている組成をしているのはT3ですが、違いはブドウ糖量と電解質のバランスです。

目的もソリタT3は高張性脱水(体液量が足りない)用であるのに対しT2は低張性脱水(電解質バランスが崩れている)用の補液です。

ソリタT2のほうが電解質の濃度が高いのです。

ソリタT4はT1と同じくカリウムが含まれていません。

こちらは術後早期および乳幼児の手術関連の水分・電解質補給に使用されます。

電解質濃度が低いので、腎機能が未熟な小児に使用されることが多いです。

まとめ

今回はソリタについてまとめました。

この内容はソルデムやほかのリンゲル液にも応用できます。

ラクテック についてもまとめていますのでリンクからどうぞ☺︎

オーダーを出すのは医師ですが、実施者である看護師も輸液のことを理解しておくことは大切です。

また一緒に頑張りましょう!



タイトルとURLをコピーしました